2023.04
千葉県立美術館によるポストカード
千葉県立美術館の裏庭に居場所を作るプロジェクトである。
県立美術館の裏側には千葉ポートパークという海沿いの広大な公園が広がっている。どちらも県の施設であるが、これまでは美術館と公園の間には柵がたっており行き来することができなかった。
今回、将来的にすべての柵を取り払い、美術館と公園を一体的に利用できるようにするという大いなる構想の第一歩として、公園側から美術館への出入口が設けられることになった。それに伴い、今まで裏庭だった場所に、美術館のもう一つの顔となるような居場所をつくるプロポーザルが実施された。看板・ベンチ・テーブルセット・遊具など求められる要望は多かったが、予算や利用実態をイメージするにそれぞれを独立してデザインすることに無理があると感じた。
そこですべてを統合した、一本のコンクリートのリボンを庭に通した。
リボンは美術館へと続く「道」であるが、高さや幅を変え、その高さにあわせてベンチにもテーブルにもステージにもなる。そして子供たちにとっては遊具となり、彼らはこの上を走り回る。
また看板もリボンの一部と見えるように設計することで、建物へと延びるリボンすべてが看板の機能を果たすことを構想した。
リボンの周りには千葉の各所から集められた様々な樹種の「木のかたまり」を配置した。利用者が自由に動かして椅子や遊具として使えるための設えである。この「木のかたまり」は山武の空師であるwo-unとともに協働して制作した。
また、看板のデザインはKARAPPO Inc.にお願いした。KARAPPOとの話し合いの中で、(要綱では求められていなかったが)この場所に名前をつける必要があると気づき「みちのにわ」と名付けた。公園と美術館をつなぐ「道のにわ」であると同時に、我々が想像していない様々な出来事・アクティビティが起こってほしいという期待を込めた「未知のにわ」でもある。
竣工してからすでに2年ほどが経ったが、イメージしたとおりに子どもたちが走り回っているのをみかけると嬉しい気持ちになる。美術館も積極的にこの場所でイベントを開催してくれており、週末にはキッチンカーの出店もなされている。キッチンカーの商品を待つ間や、購入した商品を食べる際にこの場所が使われている。
また、看板のデザインは第57回サインデザイン賞 銅賞に選定された。加えて、2025年に県立美術館の建物(大高正人による設計)が国登録有形文化財に登録された際に美術館は建物の写真のポストカードをグッズとして制作したが、「みちのにわ」の写真もそのうちの一枚となっており、ミュージアムショップで購入することができる。こういった出来事もまたとても嬉しい後日談である。
用途:道、看板、遊具 など
工事種別:外構設計
設計期間:2022年11月~2022年12月
施工期間:2023年1月~2023年4月
所在地:千葉県千葉市
サインデザイン他:KARAPPO Inc.
木のかたまり制作・設置:WO-un
施工: 有限会社 築屋
看板施工: 浅水屋カンバン店
写真:KARAPPO Inc.
第57回サインデザイン賞 銅賞