三毛猫雑貨店 1

2019.03

木造の新築2階建てのテナントビルに出店した雑貨店のための内装デザインである。

クライアントが契約したこの区画は、簡易什器だけで営業したい事業者への貸し出しを想定した区画だったので、床(フローリング仕上げ)・壁と天井(クロス仕上げ)・照明(埋め込みダウンライト)などは建築側で仕上げられて引き渡されることが決まっていた。

そこでダウンライトやコンセントといった設備機器の位置を丁寧に読み込みむとともに、仕上げを尊重したうえで、店舗を営業するにあたり足りていない機能である「棚」だけで空間を構成することを考えた。

棚を雁行させながら配置することで「手前」「中」「奥」の3つのスペースをつくり、それらを緩やかにつなげた。「手前」は入口と一体的なディスプレイスペース、「中」はカウンターがあり店員のいる販売スペース、「奥」はカウンターと椅子があり珈琲を飲みながら本を読める寛ぎスペースとした。

空間を分節させることで、入口の近くに大きなディスプレイ棚を設け、外からでも商品がわかるようにするとともに、店内⇔店外といった強い切り分け方でなく店外⇔手前⇔中⇔奥と段階的に変化させていくことで、店外と店内の切り分けを弱め、気軽に店内に入れるようデザインした。

棚はキャットーウォークと名付けたフレームで緊結して一体の構造物とし、空間に奥行と繋がりをもたらした。

なお本店は2024年5月にこの場所での営業を終了し、西千葉エリアに移転した(三毛猫雑貨店 2)が、この空間はありがたいことにそのままに別店舗に引き継がれている。

用途:物販店舗(雑貨店)
工事種別:内装工事
設計期間:2019年1月~3月
施工期間:2019年4月
主体構造:木造
階数:2階建て2階部分
面積:23.19㎡
所在地:千葉県本八幡市
写真:佐藤亮介