2020.09
昔ながらの2DKのマンションを、アトリエ付き住居にリノベーションした。
施主はスペインタイルの製作を行い、タイル教室も主宰している。
既存の部屋は一般的な間取りであったが、ひとつだけ一般的でないことがあり、それは三方向に窓を持つことだった。そこで中心にコアを設け、その周囲は同じように明るい同等の場所、窓に面した連続する回遊部屋、と扱うことにした。
壁だけを抜き出して説明すると「中心にコアを持つ回遊性のあるワンルーム」となるが、副次的に床仕上げの切り替えや天井の既存梁などの手がかりを用いることで、様々な分節が可能であるよう仕立てた。アトリエ部分だけを独立させるのがベーシックな切り分けであり、床仕上げの切り替えと呼応している。玄関からアトリエまではハードユーズできるようレンガタイル貼り、それ以外は無垢フローリング貼りとしている。
一方、露出させた既存の天井梁で切り分けると、LDKとそれ以外のグルーピングとなり、アトリエを拡張した展示会や教室のワークショップやパーティー時の利用を想定した。
「タイル教室」という機能や既存の状況から木・コンクリート・レンガタイル・鉄など素材そのものがむき出しになる仕上げ材の選定とし、それらをいかに統合するかを検討した。同時に、離れた場所や違った部分に似たような形態や空間性を与えて調和させていく。
また、それぞれのエレメントが独立して存在することを意識した。例えばそれは中心のコアの平面と床の仕上げ切り替え、天井の既存梁の位置がそれぞれずれていることや、キッチン周りの棚がスチールフレームを用いて、床・壁・天井といった建築エレメントから離れていることに現れている。
用途:アトリエ付き住居
工事種別:リノベーション
設計期間:2020年1月~4月
施工期間:2020年5月~9月
主体構造:RC造
階数:5階建てマンションの3階部分
延床面積:53.52㎡
所在地:千葉県千葉市
写真:佐藤亮介